山下晴代の「積ん読亭日常」

まっとうな本を読んでいく。

映画

 【昔のレビューをもう一度】『イタリアは呼んでいる 』──記号満載「ミニミニ大作戦」(笑)(★★★)

●懲りもせず、続編『スペインは呼んでいる』が出ているそうである。こちらとしては、スペインはお先に呼ばれてしまって、満喫してしまったので、「後追い」はしない(笑)。 『イタリアは呼んでいる』( マイケル・ウィンターボトム監督、2014年、原題『THE …

【昔のレビューをもう一度】『キングスマン:ゴールデン・サークル』──今年ベスト3(早いか(笑))!(★★★★★)

『キングスマン:ゴールデン・サークル』(マシュー・ヴォーン監督、2017年、原題『KINGSMAN: THE GOLDEN CIRCLE』)2018年1月9日 7時57分 なんたって発想が新しい。死んだはずだよおトミさん~♪のハリー(コリン・ファース)に拾われ、キングスマンとして教…

【昔のレビューをもう一度】『あるいは裏切りという名の犬 』──「大ワル」フレンチオヤジ(★★★★★)

『あるいは裏切りという名の犬 』(オリヴィエ・マルシャル監督、2004年、原題『36 QUAI DES ORFEVRES』)2007年2月5日 10時19分 ダニエル・オートュイユ、ジェラール・ドュパルデューの二人の、「ちょいワル」イタリアオヤジなんて目じゃない、「大ワル」フ…

『イソップの思うツボ 』──和製タランティーノ、上田慎一郎(★★★★★)

『イソップの思うツボ』( 上田慎一郎 中泉裕矢 浅沼直也監督、2019) 年)上田慎一郎 中泉裕矢 浅沼直也 私はかねがね、日本映画が世界レベルで勝負をかけるには、ハリウッドのまねは不可能、異国シュミを売るのは古すぎ、素人まるだしシュールな映画はお手…

【昔のレビューをもう一度】 『愛を読むひと』(2008年)の監督作。『トラッシュ!』(2014年)

【昔のレビューをもう一度】 『愛を読むひと』(2008年)の監督作。『トラッシュ!』(2014年) (FBでの会話↓) 細田傳造>ナチス時代のベルリンの街角から始まるアメリカ映画『愛を読む女』 山下晴代師に於かれましては?小生は印象が深うございました。…

【昔のレビューをもう一度】『ドイツ零年』(ロベルト・ロッセリーニ監督)(DVD)

『ドイツ零年』(ロベルト・ロッセリーニ監督)(DVD) 1947年、廃虚のベルリン。墓掘りの仕事をしている少年は、いくつだ?と聞かれ、15歳と答えたが、どう見てもそうは見えない。実際は12歳で、「仕事泥棒」と言われそこを追い出される。逃げる途中で、道…

【DVD】『ラ・ジュテ 』──本作を見たらゴダールはオワコン(★★★★★)

『ラ・ジュテ』( クリス・マルケル監督、1962年、原題『LA JETEE』) ドキュメンタリーでありながら、想像力を刺激された『ベトナムから遠く離れて』を、確か渋谷の映画館のなにかの特集で見て以来、このクリス・マルケル監督の、『ラ・ジュテ』(1962年)…

『シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢』──本年上半期ベスト1(★★★★★)

『シンク・オア・スイム イチかバチか俺たちの夢』(ジル・ルルーシュ監督、 2018年、原題『LE GRAND BAIN/SINK OR SWIM』) わが国では、憲法論議が喧しいが、民法が整っている国こそ文明国であると、民法の本で読んだことがある。考えてみれば、民法などな…

『マーウェン』──バック・トゥ・ザ・フューチャー with 人形(★★★★★)

『マーウェン』(ロバート・ゼメキス監督、 2018年、原作『WELCOME TO MARWEN』) よくできている映画なのだが、大ヒットははなから難しい映画でもある。なんせ、大半は「人形」が「演技」している。状況設定も複雑である。事実をもとにしているが、事実でも…

『新聞記者』──安倍という言葉を出さなければ絵に描いた餅(★★★)

『新聞記者』 ( 藤井道人監督、2019年) すでにマスコミで報道された、国民の誰もが知っている「スキャンダル」に想像を加え、官僚の世界を描きながら、暗にその陰には政府があり、それは「上」という言葉で表現されているのみである。 題名通り、新聞記者…

『ゴールデン・リバー』──センスよければすべてよし?(笑)(★★★★)(ネタバレ)

『ゴールデン・リバー 』(ジャック・オーディアール監督、2018年、原題『THE SISTERS BROTHERS』) あのひと、ルトガー・ハウアーに似てるという場面(今から考えると、どういう場面だったか、思い出せない(笑))があり、出演者をYahoo!映画で見ると、や…

『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』──ジェイク・ギレンホールの映画でした(★★★★★)

『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム 』(ジョン・ワッツ監督、2019年、原題『SPIDER-MAN: FAR FROM HOME』) いやー、ジェイク見たさに行って、「案内」には名前がちっこくしか出てないので、ほんとうに出るのか心配してましたが(笑)、どうも「わざ…

『パピヨン』──リメイクというよりリニューアル(★★★★★)

『パピヨン』( マイケル・ノアー監督、2017年、原題『PAPILLON』) 1973年作『パピヨン』を観ていなかったので、Amazonレンタルで前日に観て、本作に望んだ。オリジナルは2時間30分の長尺。リメイク版は、20分ほど短縮して、まさに、「余分だなー」と思える…

『主戦場』──妖怪大図鑑(★★★★★)

『主戦場 』( ミキ・デザキ監督、2018年、原題『SHUSENJO: THE MAIN BATTLEGROUND OF THE COMFORT WOMEN ISSUE』) 「ヨーロッパに一匹の妖怪が徘徊している。コミュニズムという妖怪が」 と、マルクスは、『コミュニスト宣言』(1848年『共産党宣言』とい…

『メン・イン・ブラック:インターナショナル』──ま~つりだ、まつりだ♪(★★★★★)

『メン・イン・ブラック:インターナショナル』( F・ゲイリー・グレイ監督、 2019年、原題『MEN IN BLACK INTERNATIONAL』) だいたい映画に何を期待して行くかと言えば、役者である。どんなにすばらしい脚本、演出も、役者がダメならダメになるし、役者を…

『誰もがそれを知っている』──差別構造を浮かび上がらせるミステリー(★★★★★)

『誰もがそれを知っている』(アスガー・ファルハディ監督、2018年、原題『TODOS LO SABEN/EVERYBODY KNOWS』) ファルハディ監督の作品を、『彼女が消えた浜辺』(2009年)『別離』(2011年)『セールスマン』(2016年)と見てきたが、本作に一番近いのは、…

『ベン・イズ・バック』──トップを走る女優の最高峰(★★★★★)

『ベン・イズ・バック』(ピーター・ヘッジズ監督、2018年、原題『 BEN IS BACK』) のっけから、ジュリア・ロバーツの演じる女は、「リベラル」であることを知らされる。というのも、ジュリアには、「黒人」の幼い男女の子どもがおり、養子なのかなと思って…

『希望の灯り』──アレゴリー、キレてる音楽、生への苦い希望(★★★★★)

『希望の灯り 』(トーマス・ステューバー監督、2018年、原題『IN DEN GANGEN/IN THE AISLES』) 主人公の青年、クリスティアンを演じるフランツ・ロゴフスキは、『未来を乗り換えた男』でも見た。ナイーブな表現ができる二枚目なのだろうが、ハリウッドやそ…

『ドント・ウォーリー』──ハンサムであることで救われる人生がある(笑)(★★★)

『ドント・ウォーリー 』(ガス・ヴァン・サント監督、2018年、原題『DON'T WORRY, HE WON'T GET FAR ON FOOT』) もともとは、『グッドウィル・ハンティング』撮影時に、ロビン・ウィリアムズが映画化を望んだ作品で、監督としては、彼の意志を完成させた。…

『ハンターキラー 潜航せよ』──『レッドオクトーバーを追え!』が懐かしい(★★★)

『ハンターキラー 潜航せよ』(ドノヴァン・マーシュ監督、 2018年、原題『HUNTER KILLER』) 叩き上げの、米海軍攻撃型潜水艦、艦長のジェラルド・バトラーのでかい顔は、それなりに、暗い潜水艦の中では目立つ。粗い演技も、まあ、こういう仕掛けの映画に…

『バイス 』──俳優の楽しみ満喫フハフハ暴露モノ、メタ味(★★★★★)

『バイス』(アダム・マッケイ監督、2018年、原題『VICE』) 「記者たち」の裏狂言といっていいほど、時期(9.11直後)といい、焦点(イラク爆撃)といい、重なっている。「記者たち」では、アメリカの「テロとの戦い」において、9.11首謀者と通じていると思…

『記者たち 衝撃と畏怖の真実』──事実かも知れないが、映画は紋切り型(★)

『記者たち 衝撃と畏怖の真実』( ロブ・ライナー監督、2017年、原題『SHOCK AND AWE』) まず確認しておきたいことは、「大手新聞社」などというが、アメリカには、日本のような、いわゆる全国紙はない。ワシントン・ポストも、ニューヨーク・タイムズも、…

『ブラック・クランズマン』──スパイク・リーの最高傑作!(★★★★★)

『ブラック・クランズマン』(スパイク・リー監督、 2018年、原題『BLACKKKLANSMAN』) スパイク・リーは、『ドゥー・ザ・ライト・シング』から観ている。おちゃらけのようで、「やがて悲しき鵜飼いかな」というか、すごい深みに入っていく、といった作風は…

(ベルイマンの)『沈黙 』──ゴダールもフェリーニも含んで超然(★★★★★)(生誕百周年、デジタルリマスター版)

『沈黙』(イングマール・ベルイマン監督、 1962年、原題『TYSTNADEN』) 基本的な着想は演劇ではなく音楽的な法則に従ったとベルイマンは言っている。バルトーク『オーケストラのための協奏曲』で始まる。ゆえにいわゆる「効果音」はなく、ホテルの部屋の内…

『仮面/ペルソナ』──ベルイマンの望んだ題名は『映画』。DVD鑑賞は無効。(★★★★★(★など意味ないが(笑))

『仮面/ペルソナ』( イングマール・ベルイマン監督、1966年、原題『PERSONA』) ベルイマンの望んだ題名は、「映画」。ギリシア悲劇からとった、「ペルソナ」は、なるほど、この映画を「わかりやすく」はしているが、本来のベルイマンの意図とは違う方向、…

『運び屋』──イーストウッドがつける人生のオトシマエ(★★★★★)

『運び屋 』(クリント・イーストウッド監督、2018年、原題『THE MULE』) 「100歳まで生きたいなんて、99歳の老人しか思わない」なんてセリフが生きる、老人映画。超高齢化社会のヒーローとして、ご老体が登場しだして久しい。いろいろかっこいい老人が登場…

『ビール・ストリートの恋人たち』──ブルースを聴け!(★★★★★)

『ビール・ストリートの恋人たち』( バリー・ジェンキンズ 監督、 2018年、原題『IF BEALE STREET COULD TALK』) ビール・ストリートとは、アメリカ南部、テネシー州メンフィスにある古い黒人街にある、ブルースの創始者、黒人作曲家、W.C.ハンディが住ん…

『グリーンブック』──自分が黒人だと思ってみろ!(★★★★)

『グリーンブック』(ピーター・ファレリー監督、 2018、原題『GREEN BOOK』) 今は、「アファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)」なるものがあり、その見地から見れば、本作は、「痛快な作品」となる。どうせ喜んでいる日本人の観客は、自分は…

レミ・マレク、大スターへの道

『ボヘミアン・ラプソディ』で、アカデミー主演男優賞に輝いたレミ・マレクが、次回「007」の悪役に抜擢されるかも。 エジプト移民の彼の大スターへの道!

『THE GUILTY/ギルティ 』──低予算、ワンカットでここまでできる(★★★★★)

『THE GUILTY/ギルティ』(グスタフ・モーラー 監督、2018年、原題『DEN SKYLDIGE/THE GUILTY』) 監督グスタフ・モーラー ワンカットのみの映画。警察の緊急電話のオペレーターは、かかってきた電話の内容を判断して、警察の各部署に切り分けるのが仕事。…