山下晴代の「積ん読亭日常」

まっとうな本を読んでいく。

【訳詩】ルネ・シャール「形式的分割」Ⅱ

ルネ・シャール「形式的分割」

 Ⅱ

 詩人が世界との関係においていちばん苦しむのは、内的正義の欠如である。キャリバンの不浄の洞窟の入り口の背後で、エアリエルの全能で鋭敏なまなざしが苛立つ。


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(訳註:シェークスピア晩年の戯曲『テンペスト』(1610年頃の執筆)で、弟の悪巧みにより島流しにされたナポリ大公プロスペローの棲む島で、魔女に呪いをかけられていて、プロスペローに助けられ、彼の家来になっている空気の妖精が、エアリエルで、魔女の息子の化け物がキャリバン。ここは、一人の詩人のなかに、キャリバンとエアリエルが存在し、世界との関係で苦しむという意味か?
いずれにしろ、この、アフォリズムで書かれた詩(全55章)は、難解だが、ミシェル・フーコーにインスピレイションを与えた点で、読解に値すると思って、訳している。)


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René Char "Partage Formel"

 Ⅱ

 Ce dont le poète souffre le plus ses rapports avec le monde, c'est du manque de justice interne. La vitre-cloaque de Caliban derrère laquelle les yeux tout-puissants et sensibles d'Ariel s'irritent.