山下晴代の「積ん読亭日常」

まっとうな本を読んでいく。

『現代詩手帖2019年6月号』──読むところがない(笑)(★)

 毎年年末は、アンケートと「住所禄」の号であったが、それを、年度の半ばでやってしまっているとは、よほどネタがないのだろう。ネタなど、ふだん問題意識を持っていれば、いくらでも浮かぶものだが、この編集部は、いかにして、推定300人程度の「読者」(含む執筆者)を管理するか、金を引き出すか、権威を形成するかに腐心しているから、まったく「詩」については、アンケート以外のコンテンツが思い浮かばず、しかも、その「問い」が、「現代詩手帖とのはじめての出会いは?」とか、「現代詩手帖」に関するものばかりで、何十周年特別号だからあたりまえといえばあたりまえだが、それにしても、もう少し芸がありそうなものだが。このアンケートは、いつもより、「たくさん」書けるようになっていて、答える人々は、うっとりと、自伝のようなものを書き連ねている。これらの人々の名前を見ていて思いつくのは、萩原朔太郎賞、鮎川信夫授賞者たちで、これらは、後者は、この雑誌の版元である思潮社主催の賞で、前者も、おそらく、下読みに関係しているのだろう。しかも、巻頭に、朔太郎のお孫さんの、朔美氏が、「ごあいさつのことば」などを述べている。氏が管理する(?)文学館と提携して、ますます、日本の詩壇を牛耳っていこうという魂胆なのだろうか? しかし、萩原朔美氏、なにか作品あったかしら? ご母堂さまの、萩原葉子さんの「刺草の家」はおもしろく読ませていただいたけれど。たしか、東京キッドブラザースか、天井桟敷か、前衛劇に関係されてたと記憶していますが、文学作品は、どうなんでしょう? だいたい、彼らが祭り上げようとしている、萩原朔太郎自体が、それほど評価されるべき詩人かどうか。しかし、まあ、この雑誌の編集者とこの雑誌の版元の経営者は、そうしたいのだろう。しかし、日本の人口1億2000万人?で、たった300人程度の「詩人」相手は、いかにも、厳しい(笑)。断末魔の姿と見た(合掌)。誰が、こんなザッシに、1400円も払うかね?(爆)