山下晴代の「積ん読亭日常」

まっとうな本を読んでいく。

『ゴールデン・リバー』──センスよければすべてよし?(笑)(★★★★)(ネタバレ)

『ゴールデン・リバー 』(ジャック・オーディアール監督、2018年、原題『THE SISTERS BROTHERS』)

 あのひと、ルトガー・ハウアーに似てるという場面(今から考えると、どういう場面だったか、思い出せない(笑))があり、出演者をYahoo!映画で見ると、やはり、ルトガーさま、だった! 御年75歳(涙←なんでー(笑)?)、かつてのアンドロイド俳優も、エルマノ・オルミ監督、『聖なる酔っぱらいの伝説』で、名演を見せたものの、監督、役柄、(おそらく)マネージメントに恵まれず、オランダ人という「ハンディ」もあってか、こんな映画の脇役(もっと以下?)に落ちぶれ果てていた……。あ、映画と全然関係ありませんね(爆)。

 本作ですが、いやー私は、おフランス人(監督)が何を考えているかは、まったくわかりませんね。ついでに、ベネチア映画祭の選考委員たちも。まー、おフランス人、イタリア人というのは、「雰囲気」で思考してますね。「雰囲気」は、それなり、「脱構築ウェスタン」なんですが、かなり違うものとなってます。だいたい、フランス人とウェスタンというのは、相容れない概念である(笑)。そういう映画ではなく、なんつーか、原題(『シスターズ(名字)ブラザーズ(兄弟)というシャレみたいな題名)どおり、兄弟のハナシなんですね。荒くれの殺し屋兄弟が、「提督」(ゴールデンラッシュ時代の土地の支配者)の命令で、「化学者」を追う。それを「見張る」者がいる。という四人の図式。

「化学者」は、いちいち川を「さらって」砂金を探さなくても、川の水にある物質を投入して黄金を「浮かび上がらせる」薬品の化学式を発明している──。

 ほぼ焦点は四人にあたり、ウェスタンにはあるまじきアップ多様で、舞台劇のような作りになっており、四人の俳優の演技合戦なのであるが、最後、殺し屋兄弟が、「ママ(実母)」の住んでる実家に戻り、ママの手料理やらなにやらで慰められ、しあわせに暮らしました~(たとえ一時的でも)、そういうハナシになっているので、お口あんぐりでした。だから、「シスターズ兄弟」という原題がぴったりなのに、「ゴールデン・リバー」なる、さも、ゴールドラッシュのウェスタンであるかのように「偽装」していますね、客を呼ぶために。

 四人のおもな人物では、美形フェニックス、ギレンホール、華奢な化学者役のアーメッドのなかで、ひときわ無骨ででかく、ブオトコ(なんでフェニックスと兄弟?)のジョン・C・ライリーが、いちばん、かっこよくすてきに見える作りになってます。さすが、おフランス人(監督)(爆)!

 最後のクレジットが、音楽もセンス抜群で、そうか、そういう映画だったのかと思わせ、センスがよければすべてよし、の世界かな?と……(笑)。おそらく、ベネチア映画祭銀獅子賞は、このおかげと思われる。