山下晴代の「積ん読亭日常」

まっとうな本を読んでいく。

『イコライザー2』(IMAX)──デンゼル・ワシントンはCIAが最も似合う男(★★★★★)

イコライザー2』(IMAX)( アントワーン・フークア監督、2018年、原題『THE EQUALIZER 2』)

時間の関係で、不本意にもIMAXで観たが、海辺近く&(なぜか)台風(笑)のシーンの戦闘は、すばらしいものがあった。すべてはここへ持っていくためのストーリーかと思われたが(笑)、ま、いいだろう。なんせ、5(?)対1である。しかも「敵」の「5」は、かつてのCIAの実行部隊の仲間で、戦闘能力は群を抜いている。デンゼル分するマッコールも、タクシー・ドライバーをしながら、裏では、仕置き人のような仕事をしている。その仕事を与えてくれるのは、これが、どうも古巣のCIA、しかも上司だったスーザンであるようだ。スーザンとは、親友。しかし、そのスーザンが何者かに殺されてそれを調べていくうちに……犯人は……かつての同僚のCIA局員だとわかる。マッコール、対世間的には「死んだ」ことになっている。犯人のひとり、やはり親友に近い存在だった男は、述懐する──「おまえが『死んで』から、自分は闇の殺し屋をやるようになった」。ここが判断のしどころである。合法的殺し屋たちが、その「親方」を離れ、「悪を懲らしめる必殺仕置き人」になるか、「ただの殺し屋」になるか(爆)。このへん、現実的には、微妙かもしれない。しかし……まあ、映画ですから(笑)、ここは、カタルシスのための「正義の味方」がいるんです。
 というわけで、プルースト失われた時を求めて」を読む、フェミニストの心優しき殺し屋の登場なのである。
 そして「悪の5人」を全滅させるため、かつて妻と暮らした海辺の家に、善悪殺し屋たちが集まって、死闘を繰り広げるのである──。
 で、その戦闘シーンがすばらしいのである。もしかして、スピルバーグ『激突』あるいは、『プライベート・ライアン』に匹敵する? そこんとこ、渋さが魅力の黒人監督、アントワーン・フークワ、これからが正念場と見た。同じワシントンが、カリスマ刑事に扮し、アマチャンのイーサン・ホークを鍛える、『トレーニングデイ』(2001年)のエンディング・ミュージックのラップはときどき聴いている私であるが、あれからもう17年も経っているので、さすがに本作の音楽はもはやラップではなく、なにやら重苦しくもどこかにブラックな味つけのセンスのいいなにものかである。それが2018年のクールを彩る。いずれにしろ、デンゼル・ワシントンは、CIAが最も似合う男である。
 IMAXだと、デンゼルといっしょに、自分も闘っている気分になる(爆)。