加藤典洋著 『戦後入門』(ちくま新書) 新書ながら635ページ。書き下ろし。2015年刊。なんでこんな本を読んだかといえば、池田清彦『ほんとうのことを言ってはいけない』(角川新書、2020年1月刊)で、50年後にも読みつがれる本として推薦されていたからだ…
謹賀新年。 この写真は、世界三大聖地のひとつ、北スペイン、サンチャゴの礼拝堂です。もう6年前になりますか。昨年末に制作した新詩集『死にゆく者への祈り』の表紙に使いました。今年は、小説にシフトし、ちょっと腰を落ち着けて修行できたらと思います。…
「荒木一郎に捧げるほろ苦いブルース」 人気の出た歌手が事務所から独立して稼ぎを全額自分のものにしようと目論んだ時、この、文学座の古参女優荒木道子の息子の元歌手で、音楽プロデューサーは、コメントしたものだ、「ふん、てめえひとりの力で売れたと思…
『表象の奈落―フィクションと思考の動体視力 』(蓮實 重彦著、 2006年11月、新装版2018年5月、青土社刊) まず初めに、10年前以上の(Amazonの)レビュアーがお二方いらっしゃるだけの本書(つまりは「売れてない」(笑))、拙宅のそこらへんに転がってい…
ミッキー・ロークが最高に美しかった頃。ジャック・ヒギンズ原作。 映画『死にゆく者への祈り』↓ https://movies.yahoo.co.jp/movie/10082/
山下晴代第八詩集のご案内。年末年始は、コレを読みながら、泣くもよし、笑うもよし。1500円で癒やされよう!こちらでご注文できますが、当方メッセージ等でもご注文できます。メールでも→rukibo@mars.dti.ne.jpあ、題名を忘れた(笑)。 『死にゆく者への祈…
『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け 』(J・J・エイブラムス監督、2019年、原題『STAR WARS: THE RISE OF SKYWALKER』) 貴種流離譚の鉄則を踏んで、みなしごのレイは、姫であった──。出エジプト記宇宙編とでも言おうか。しかし、主役は女。フィ…
伊藤詩織さん事件で、相手の元TBS貴社山口敬之氏の「味方」をするジャーナリストそのほかの人々がいるのだが、こういう人々の意識にあるのは、「じゃあなぜ、食事までして酒なんか飲んだだよ〜」っていうのだと思う。それは、将来的に山口氏が、伊藤さん…
『家族を想うとき』(ケン・ローチ監督、2019年、原題『 SORRY WE MISSED YOU』) 批評氏は、「プワー・ワーキングクラス」などと、他人事のように書いておられたが、はたしてそういう「クラス」を描いた映画なのか? ある夫婦がおり、二人の子供がおり…
『家族を想うとき』(ケン・ローチ監督、2019年、原題『 SORRY WE MISSED YOU』) 批評氏は、「プワー・ワーキングクラス」などと、他人事のように書いておられたが、はたしてそういう「クラス」を描いた映画なのか? ある夫婦がおり、二人の子供がおり…
『ヤング・アダルト・ニューヨーク』(ノア・バムバック監督、 2014年、原題『WHILE WE'RE YOUNG』)──四十にして惑う(笑)。2016年8月21日 6時08分 ●『マリッジ・ストーリー』のノア・バムバック監督の5年前の作品。同じニューヨークを舞台に、カップルの…
「実存と夢」 勅撰集は置いて 雨も風もない外宇宙にて 丸谷はひとり息子を待つ メモリは足りず 重力波は狂い 苦い過程の産業革命 歴史という薄っぺらな旗が 冥王星の向こうに立っているという 四書五経といえど 相対性に届かぬ空しさ 饐えた衣装を着て待つは…
『マリッジ・ストーリー』(ノア・バームバック監督、 2019年、原題『MARRIAGE STORY』 ある夫婦の「離婚に至るまでの物語」ではなく、「離婚を決めた夫婦」の、離婚までの「物語」。ありふれた「夫婦決裂」のハナシではない。「結婚」という社会制度が、い…
『ベロニカとの記憶 』(リテーシュ・バトラ監督、2017年、原題『THE SENSE OF AN ENDING』 2018年2月8日 11時36分 学生時代に対して、とくにノスタルジックな思い出を抱いているわけではない、老いた男に、ある日突然、法的な手紙が来て、昔同窓生だった女…
●懲りもせず、続編『スペインは呼んでいる』が出ているそうである。こちらとしては、スペインはお先に呼ばれてしまって、満喫してしまったので、「後追い」はしない(笑)。 『イタリアは呼んでいる』( マイケル・ウィンターボトム監督、2014年、原題『THE …
「Metaphor」 denotationconnotationcognitive linguisticstarget domainsource domainをりかく神無月しぐれの雨をたてぬきにしてわれわれはどんなオレンジ色をよみ人の性別さへしらず
『ドクター・スリープ』(マイク・フラナガン監督、2019年、原作『DOCTOR SLEEP』 だいたい事情がわかってきた。『シャイニング』の監督キューブリックと、原作者スティーブン・キングは、その思想がまったく相容れない。キングは、子供たちを中心に、心霊的…
2 序文(つづき) 「一方、ゴア・ヴィダル(あるいは、トム・ウルフだったっけ? 彼らの反撃者のひとり、 いずれにしろ、お文学以外のすごくエンターテインメントなべつのものを書くやつだよ)、彼が、フィクティブ・ファビュリズム、ポストモダニズム、まあ…
「私のように美しい女、あるいは、いかにして私は火星人を愛するようになったか」第1回 序文 まあ、ジョン・バースの『レターズ』かな、と思って、二巻に分かれている邦訳の、とりあえず第一巻を探したが、すぐには見当たらず、第二巻は本棚にそのままあっ…
『北村薫の創作表現講義―あなたを読む、わたしを書く (新潮選書) 』(北村薫著、 2008/5/1、新潮社) 『公募ガイド』の今月号、すなわち、2019年12月号に、この北村薫氏が登場し、小説の書き方指南をしていて、ついでに本書も宣伝してある。近刊かと思ったら…
『小説作法ABC (新潮選書)』(島田雅彦著、2009/3/1、新潮社) このほど、「公募ガイド」で講座を持つことになった、島田雅彦氏の10年前の「指南書」であり、ほぼ、法政大学の講義録のようである。まず、新潮社というのが、おおかたコネで著者を見つけている…
『読書実録』(保坂和志 著、2019/9/26、河出書房新社 ) たとえば、カフカの日記は、普通ならこぼれてしまうような行間を拾って、どこまでも興味は尽きないが、保坂和志も、カフカに習っているようだが、結果はまったく見当違いとなって失望させられた経験…
『フーコー入門 (ちくま新書)』(中山元著、1996/6/1刊、筑摩書房 ) フーコーの「処女作」は、精神科医ビンズワンガーの翻訳及び、著書の、本文より長い序文である。カントの人間学から、文献学へと進んでいったフーコーは、なにより、ドイツ語に通じる哲学…
『オーガ(ニ)ズム』(阿部 和重 著、2019年9月26日、文藝春秋 刊) すぐに、トマス・ピンチョンを思わせる作りなれど、冒頭登場人物図を見ただけでうんざり。たしかに、著者はピンチョンの影響下にあるかもしれないが、それにしては、規模、筆力、などがいか…
「雨が空から降れば」 むかし「雨が空から降れば思い出は地面に染みこむ」という歌があった。ペーター・ハントケがまだ劇作家で、『被後見人が後見人になりたがる』という台詞のない戯曲を発表していた時代その題名は、シェークスピアからの引用で早稲田小劇…
「弟子」の傳ちゃんこと、細田傳造氏が、氏が加わっている同人誌を二冊送ってきた。基本的には、ご寄贈はご遠慮申し上げている(なんか偉そーに響くが、まあ、私なんかに送ってくる人もそうそういないんで)のだが、なにぶん、弟子だからしゃーない。薫陶ぶ…
「蜜色のさよなら」 「詩人は通過していくところの痕跡を残すべきで、証拠はいらない。痕跡だけが夢見させる」(ルネ・シャール『庭の仲間たち』より) 痕跡……なにより弾痕ハードボイルドは「桃色のさよなら」カフカは「霧色のさよなら」ミンガスも「霧色の…
「アメリカの女」 ジェーン・フォンダではないバーブラ・ストライサンドでもないミシェル・オバマでもないユフィーミア。ケイト・ウィンスレットのような美人ではない、痩せぎすの金持ちの娘。修道院の学校生活で貴族との結婚を密かに夢見る。べつに美男を望…
「詩法」 そして非コードDNAの叛乱、夢見ればマラルメの骰子より悲し父よ母よ虚無よ遠くオリンポスで会議する神々よ韻は定義されクロンネ韻アンペリエール韻バトレ韻さかしまに吊られる巫女よ、航海の無事を祈れ!
『秘苑にて』(松浦 寿輝 著、2018年11月書肆山田刊) 私が「邪推」したところ、書肆山田という出版社は、かつては、どこか大手で活躍していた編集者(集英社とか)が関わり(社主かどうかは知らない。たぶん、あとになって、ということかもしれない)、…