山下晴代の「積ん読亭日常」

まっとうな本を読んでいく。

『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』──今年なにもいいことがなかったと思っている人へ(★★★★)

ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生 』(デヴィッド・イェーツ監督、2018年、原題『FANTASTIC BEASTS: THE CRIMES OF GRINDELWALD』)

 作り物といえば、リアルな親子や恋人同士の葛藤も、作り物なのであるが、そういう設定だと、なぜかホンモノだと思ってしまう観客がいる。そういう観客からすれば、本作など、子ども騙しのファンタジーなのだろう。『ハリー・ポッター』の原作者のJ.K.ローリングが、「魔法」を題材に選んで物語を書き始めた時から、書くことには困らないことは目に見えていた。選んだもん勝ちである。
 「ファンタスティック・ビースト」っていうくらいだから、架空の動物がテーマで、それらをめぐってあれこれ物語が展開するが、ハナシが、人間の血縁の方へ逸れてしまっているのは、人間臭くて、残念である。しかしまー、ジュード・ロウジョニー・デップなど大物俳優が、魔法といっしょに遊んでくれるのだから、気持ちは結構あがる。少なくとも、『スター・ウォーズ』よりは、動物たちも華やかで魅せる。映像も美しい。で、まー、今年何もいいことがなかったという人は、こんな映画で、一年を締めくくってはどうだろうか?