山下晴代の「積ん読亭日常」

まっとうな本を読んでいく。

#哲学・思想

『臨床医学の誕生』ミシェル・フーコー(Naissance de la clinique, Une archeologie du regard medical, par Michel Foucault)

『臨床医学の誕生』ミシェル・フーコー(Naissance de la clinique, Une archeologie du regard medical, par Michel Foucault)神谷美恵子訳(みすず書房、1969年刊、原書は1963年刊) 今はあたりまえのように、誰もが病院へ行ったり、「入院したり」「入院…

Gilles Deleuze "LOGIQOE DU SENS"(ジル・ドゥルーズ『意味の論理学』)

Gilles Deleuze "LOGIQOE DU SENS"(ジル・ドゥルーズ『意味の論理学』) さまざまなセリー(系とでも、訳すのか?)からルイス・キャロルの成し遂げた「意味」を考察。すなわち、「表層」であること。 C'est en suivant la frontiere, en logeant la surfac…

千葉雅也著『勉強の哲学 来たるべきバカのために』──「おフランスの現代思想」じたいがすでに陳腐(★)

千葉雅也著『勉強の哲学 来たるべきバカのために』──「おフランスの現代思想」じたいがすでに陳腐(★) 『勉強の哲学 来たるべきバカのために』(千葉雅也著、2017年4月、文藝春秋刊) この著者は、ちまたに氾濫する、いわゆる「勉強指南書」はひとつも読ん…

「フーコーを読む」1

"Dits et ecrits Ⅰ,1954-1975" 本書には、単行本以外の著作(序文、対談などを含む)、インタビューなどが収められている。フーコー最初の活字になった仕事は、スイスの精神病理学者、ルートヴィヒ・ビンスワンガーの論文「夢と実存」の仏訳に付けられた序文…

ソシュールの思想?

シニフィアンとシニフィエを、「意味するもの」「意味されるもの」と簡単に、しかも、「引き離して」使用している例を見て、まてよ……そんなに簡単なものだっけ?と思ったのもあったが、Lacanの『EcritsⅠ』に、ポーの『盗まれた手紙』の言及があり(驚いたこ…

ベルクソン入門として

ベルクソン全集は、Kindle版なら300円台で購入することができる。なかでも、入門書として最適と思われるのは、白水社の『世界の名著』シリーズ64(中央公論社)の「ベルグソン」の巻(澤潟久敬 責任編集)に収められている、「形而上学入門」で、『思想と動…

『物質と記憶 (岩波文庫) 』──ただでさえ難解な書がさらにわからなくなる訳(笑)(★★)

『物質と記憶 (岩波文庫) 』(ベルクソン著、熊野純彦訳、2015年9月、岩波書店刊) ベルクソンの主著は四つ。 1,『意識に直接与えられているものについての試論』(1889年) 2,『物質と記憶』(1896年) 3,『創造的進化』(1907年) 4,『道徳と宗教の二…