山下晴代の「積ん読亭日常」

まっとうな本を読んでいく。

『世界認識の方法』──他人のフンドシでとった相撲?

『世界認識の方法』吉本隆明(1980年6月刊、中央公論社

「いかにしてマルクス主義を始末するか」

 最初で最後の、吉本隆明とミッシェル・フーコーとの対談が収められた本である。本書の中で、フーコーの発言はかなりの量を閉め、内容も深いものがあるが、帯にフーコーの名前はあるものの、本書の「著者」は、吉本隆明一人である。つまりこれは、吉本隆明の本として刊行されている。
 この対談を、フーコー側の資料で見れば、書籍以外の全執筆、対談、講演等が収められた、『FOUCAULT Dits et écrits 鄱, 1976-1988』に、

Méhodologie pour la connaissance du monde : comment se débarraser du marxisme
entretien avec R.Yoshimoto, 25 avril 1978 ; trad.R.Nakamura

 とある。つまり、本対談は、1978年4月25日に行われた。
フーコー、52歳、吉本隆明、54歳である。フーコーには、日本語の翻訳された著作が多々あり、一方、吉本隆明の著作は、英語にもフランス語にも訳されていないので、本対談でフーコーが言っているように、蓮實重彥氏による、吉本氏の仕事の要約、紹介、著作リスト等によって、吉本の仕事の概要を知った。
 対談のテーマは、題名にあるように、マルクスおよび、マルクス主義をめぐる思想のある方である。それがどうして、「世界認識の方法」なのか?

★続きは本部へ↓

http://www.mars.dti.ne.jp/~rukibo