山下晴代の「積ん読亭日常」

まっとうな本を読んでいく。

『一生モノの人脈術』2010/4/2刊 鎌田弘毅著

 本書は、「人脈」という言葉から想像される、マメにいろいろな会合に顔を出し、名詞を配りまくって自分を売り込む……という行為からはほど遠い、およそ、人間として大切な信頼関係をいかに育てるかが、指南されている。 考えてみれば、自分が大したことがないのに、自分以上のレベルの高い人間と同等な関係など結べるはずがない。自分にとっては重要な人間でも、果たして相手にとって、自分は価値ある人間なのか? この「価値ある」とは、べつに、「利用できるか」などという次元の話ではない。自分がほんとうに関係を結びたい相手にも、必要とされる人間になるには、どのような「修練」を積めばいいのかが、著者自身の経験を惜しみなく公開することによって示唆されている。 また、人と接するとき、品位というものがいかに大切かも強調されている。信頼関係を育てるには、時間がかかる。そして、そういう関係をいくつか築けたとき、人の人生は何よりも豊になる。だから、「一生モノ」ということなのだろう。人は、人と関係において、成長していく。べつのタイトルをつけるなら、「慎みの人間学」とでも……。 人間関係に悩んでいる人にこそ、本書をおすすめしたい。

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「お写真」は、大濠公園@福岡にできた(公園内は、富山に次いで、全国2店目という)スターバックスにて。

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