2019-05-16 【詩】「鴨」 文学 #その他文学 「鴨」 鴨は草のなかにじっとして、 鴉のように嫌われ者を演じることもなく、 鷺のように目立とうとすることもなく、 ただここでは、誰も鴨など食べようとしないことに安堵しているようだった。亀のように、 鯉に食らいつくこともなく、水に浮かぶことにも飽きて、 平穏な時間を味わっているようだった。定めがたい空の色 その豊かさに満足して、愛を失った者も得た者も そのそばを通りすぎてゆくのだが、その魂は 草の一本より小さく、けれど存在して、 あなたに語りかけている。