山下晴代の「積ん読亭日常」

まっとうな本を読んでいく。

【エッセイ】「年々バカが増えていることを愁えるこの記念日」

「年々バカが増えていることを愁えるこの記念日」

どこかのバカが某有名人の文章の、「無断シェア」ではなく、「無断引用」をしていた。なんでも、広島原爆は、アメリカの戦争犯罪だとか。この文章には、戦争犯罪なる言葉の意味をはき違え、かつ事実誤認もはなはだしいものが含まれている。
第一、戦争にはルールがあって、この場合、被爆国は、それを避ける術があった。それは、戦争の終結かつ、全面降伏である。これをする権限は、当時の昭和天皇にあったことは、吉田裕著『昭和天皇』に述べられている。日本が原爆をも含む、被害に遭うことは、予想できた。しかし、「あえて」それをしなかったのは、昭和天皇が、臣民は自分のために死んで当然という、「帝王教育」を受けていたからだ。ただ、それだけのことである。ゆえに、戦争犯罪にあたるのは、昭和天皇ということになる。
そういうことも想像できないバカが、ただ有名人と表面的につながって、自分がごたいそうな存在であると思い込んでいる、SNSの「お友だち」という「フィクション」を愁えるばかりである。