山下晴代の「積ん読亭日常」

まっとうな本を読んでいく。

#小説

村上春樹著『騎士団長殺し 第1部顕れるイデア編』『第2部 遷ろうメタファー編』──読まずにすませたい読者のために(笑)(★★)

『騎士団長殺し 第1部顕れるイデア編』『第2部 遷ろうメタファー編』(村上春樹著、2017年、新潮社刊) 「今回も」、この思わせぶりっこの題名と、目次のせいで、買ってしまいました(爆)。というか、もうーべつの楽しみがあるんですね。いかに「偉大でな…

【冒頭翻訳劇場(柴田元幸氏にならって)】ジェームズ・ジョイス 『ユリシーズ』

【冒頭翻訳劇場(柴田元幸氏にならって)】 ジェームズ・ジョイス 『ユリシーズ』 Ⅰ 堂々として、まるまる太ったバック・マリガンが階段の天辺から降りてきた、泡のたった石鹸液の入ったボウルを持って、そのボウルの上に、鏡とカミソリを十字に置いて。黄色…

オンライン小説「道長通夜」

オンライン小説『道長通夜』 あわひ けはひ ひはゐ あわわ わはは どはは きゅうちゅうに がうたう はひり にょぼうたちは まるはだか しょうがつにきるきもの ないので おかみからあたらしいのたまはった でも あかはきんじき あかはまだだめ それは── 川流…

『ピース・オブ・ケーキとトゥワイス・トールド・テールズ』──現代日本文学の一惨状

『ピース・オブ・ケーキとトゥワイス・トールド・テールズ』(金井美恵子著、2012年1月新潮社刊) サマセット・モームは、普遍的と判断される世界の代表的な小説を選んで解説した、『世界の十大小説』という書物で、いかに傑作といえど、『ドン・キホーテ』…

『KAGEROU 』齋藤智裕著──「作家」とはそんなにいいものか?

『KAGEROU 』齋藤智裕著(ポプラ社 2010年12月刊) アマゾンでレビューを書いたり、読んだりしていると、しだいにわかってくるのだが、どうもレビュー数は、売れている数と連動していると思う。その点、本書のレビュー数(670件あまり)も例外ではな…

本人さえも読み返すのに勇気のいる作品を……

小谷野敦氏に読んでいただき、氏の勇気にはただただ感心と感謝。ひょんなご縁ではございますが、私は拙作を読んでいただいた方には、いかなる酷評でも、感謝しております。貴重なお時間を割いていただいているんですから。 でもサ、大変恐縮ではございますが…