山下晴代の「積ん読亭日常」

まっとうな本を読んでいく。

【詩】「ねむい」

「ねむい」

ねむい。眠さのなかでなにか目覚めるものはあるのだろうか? それは飯田線の列車の揺れだったりする。祖母の家からお祭りが終わり、三河一宮から豊橋駅へ、帰っていくのが妙に悲しくて。その、
コットン、コットン、揺れる床の振動の、
三十年後には、プルーストを開いて、同じ動きを重ねるのであった、
未来はまだ、手つかずの卵で火の玉宇宙で、終わりも始まりもなく、ただ、
「インフレ」のみがたゆたっているとか。ブラックホールとか、ブラックホールのいとことか、薄汚れた、「演出入門」、なかを開けば、ひどい活字。いまの性悪のプリンタでも、ここまでは、という印刷の活字で、商品としての本が成り立っている時代もあった。おお!時代。もう藤原氏が支配する時代には戻りたくない。ねむい、魚のように、恐竜のように、水仙のように、ロバート・ローウェル書くところの、アエネーアスを読みながら眠ってしまった羊飼いの老人のように。詩を発明した人類に、
祝福あれ。


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