山下晴代の「積ん読亭日常」

まっとうな本を読んでいく。

【詩】「重力/虹」

「重力/虹」

もののとらえ方は外部から
だけでなく内部から
もあることは
ベルクソンが長い間
研究して示した
たいていのひとは外部だけを
描写する。それを
存在だと信じる
闇のなかをゆく
列車
ずっと高いところにガラスの
天井があって
いまにも
崩れそうだ
いまがいつなのか
わからない
あと
三十億年待て
主体なのか
客体なのか
その両方なのか
その
どちらでもないのか
すでに
虹は出て
重力のありかさえ
知らない
意志が
訂正した。あと、
四十億年待て。



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