山下晴代の「積ん読亭日常」

まっとうな本を読んでいく。

ハチミツの表示からクロード・シモン『アカシア』を思い出す。


ミシェル・フーコーの「新しいテーマ」は、「人間はなにでできているか」であった。「なにで」? とりあえず、ひとりの人間の内面は、その人間が収拾した「情報」と、彼が発信する「表現」、などでできている(当然、それだけではなく、それこそ、分析が必要なほど多岐にわたるが)として、瞬時に脳内に形づくられるイメージ、あるいは、連想を記録してみようと思う。
生協で購入したハチミツは、アカシアハチミツと書かれていて、内容表示を見たら、「中国産」とあったが、アカシアという文字を見れば、すぐに思い出すのが、クロード・シモン『アカシア』である。この、孤高のといってよい、フランスの(確か)ノーベル賞作家は、アカシアの農園経営者であったと記憶している。さっそく本棚から探し出したが、読んではいない(笑)。帯に金井美恵子氏の推薦文が付いている。手が出なかったわけがわかった。なにかというと、この種の作品には、日本では、というか日本の「それ系」出版社では、すぐに金井美恵子を引っ張り出す。まともに両者の作品を読めば、「大きなちがい」がわかるはず。つまり、金井美恵子という作家は、はるかに、このレベルには達していないし、クロード・シモンを貶めることにもなる。そして、おそらく、本書は「売れなかった」(笑……(合掌))。で、どうなんですか? 中身は(笑)?