山下晴代の「積ん読亭日常」

まっとうな本を読んでいく。

【詩】「詩法」

「詩法」

ヴァレリーのいない遠州では蛇も
粗描されない詩法の数に戸惑うばかりだ
だがそれは当然だった記憶のために詩が
必要だった韻文は筆記と同等で
残る
鏡の中に見るは遠州の祖母の眼
オオサという食料品店の娘だった
そうな山奥の食料品店すなわち
いいとこの出その娘が籠を背負って
茶摘みユキノシタにも天使は棲んでなくて
けれどトルゥバドゥール探す者は
訪ねて来る牛も寝ている早朝
ロシアの村にどこか
似てますねアマガエルが耳打ちするのだった