山下晴代の「積ん読亭日常」

まっとうな本を読んでいく。

【けふの論点】いわゆるひとつの「土人発言」問題

【けふの論点】

確かに、小林秀雄は何十年も前の講演で、ユングの研究を説明するために、アフリカ系の人々を、「土人」と言っている。しかし、言葉というものは、時と場合、場所、状況、文脈において、どんな言葉も差別語になるということは、文明化社会の普通の教育を受けた人間なら誰でも知っている。

この場合、大阪府警の派遣隊員が、地元の人々に向かって、何十年も前に、未開民族の精神に関する研究を説明するのと、同じ言葉を使っていいものだろうか?

そして、その行政府の長が、その事実を知りながら、なんらとがめることなく、逆に隊員をねぎらうなどということが、近代文明化社会において、まっとうだろうか? そういう人間が近代社会の行政府の長にふさわしいか、また、そういう言葉の使い方をしらない人物を警察の一員としてよいのかという、倫理レベルの問題かと思われる。