山下晴代の「積ん読亭日常」

まっとうな本を読んでいく。

【詩】「紅葉賀」

「紅葉賀」

宮はやがて御とのゐなりける、すなわち殿舎にもどらず、
帝の部屋に泊まる
にもかかわらず翌朝源氏から
昨日の舞の感想を求められつい応えてしまう。
しみじみ、感動いたしました。古代の女と男、義母と息子
先帝の長寿の祝い、唐の舞をりっぱに踊る源氏、それは
どんな踊りだったのか、知るよしもない
かつて深くちぎった二人がおおやけの場で顔を合わせ、
その瞬間の時間の悲しみ、むしろ
存在せぬ方がよかった、袖は振られてしまい、
それは意味をまとった。
紅葉とは悲しさのまたの名
  『源氏物語』ですぐに心にしみてくるものは
  移っていく物語の速さと吉本隆明は書いている。

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