山下晴代の「積ん読亭日常」

まっとうな本を読んでいく。

文学

【詩】「鴨」

「鴨」 鴨は草のなかにじっとして、 鴉のように嫌われ者を演じることもなく、 鷺のように目立とうとすることもなく、 ただここでは、誰も鴨など食べようとしないことに安堵しているようだった。亀のように、 鯉に食らいつくこともなく、水に浮かぶことにも飽…

【詩】「最高峰」

「最高峰」 詩人のHさんは、杜甫の詩を「古今東西の詩の最高峰」と書かれていましたが、ここで、詩というのは、日本では、古来、和歌に対して詩、すなわち漢詩であったので、その最高峰ということになります。一方、新体詩、近代詩、現代詩の歴史が日本には…

Amebloですかあ~

9年前から開設してました(爆)。そして、いま、リニューアル!きてね! https://ameblo.jp/kumogakure39

【詩】「資本論(Das Kapital)」

「資本論(Das Kapital) 第一巻 資本の生産過程(Der Produktionsproze? des Kapitals) 第一篇 商品と貨幣(Were und Geld) 第一章 商品(Die Ware) アメリカのアップル社にスパイに入った、中国企業からのまわしモノのスパイ、当然アメリカ国籍のワスプ…

母の日に

母の日に母が描いたカーネーション

花菖蒲

睡蓮の池を彩る花菖蒲

あ、このブログもあった(笑)

https://haruyomu.blogspot.com

たくさんあるブログのひとつで

千住博の絵をおフランス語で紹介してみました。 (このYahoo!が終わっても、どうってことないです(笑) https://rukibo.tumblr.com

けふのランチ@20190510

けふのランチ。ズッキーニとベーコンの炒め物、シーザー風サラダ、フルーツ入りヨーグルト、コーンスープ(インスタント)、トースト(発酵バター)、オレンジ・ジュース、コーヒー(スタバ、パイクプレイスブレンド)。

高野山金剛峯寺襖絵完成記念「千住博展」@北九州美術館分館

高野山金剛峯寺襖絵完成記念「千住博展」 白襖となっていた、金剛峯寺の「茶の間」「囲炉裏の間」に、日本画家・千住博の襖絵が奉納されることになった、それに先だっての展覧会である。 千住のテーマの、滝と、断崖の図がそれぞれ納められる。瀧の図は、全…

松浦寿輝詩集『秘苑にて』──もはや授ける賞がない(笑)

松浦寿輝詩集『秘苑にて』(2018年11月25日、書肆山田刊) 私が「邪推」したところ、書肆山田という出版社は、かつては、どこか大手で活躍していた編集者(集英社とか)が関わり(社主かどうかは知らない。たぶん、あとになって、ということかもしれない)、…

5月5日は海へ

【詩】「シニフィエ、シニフィアン、ジャパニーズ・ダイアナ・ロス」

「シニフィエ、シニフィアン、ジャパニーズ・ダイアナ・ロス」 「シニフィエというのは音、シニフィアンというのは意味です」と、井筒俊彦は、高野山での、「言語哲学としての真言」という講演で言っている。シンプルなことなのである。しかし、これを、しち…

【エッセイ?】「答えではなく、問いである」

「答えではなく、問いである」 なんか、朝日新聞に、金井美恵子センセイが、令和によせて、とかという枠で寄稿され、それがツイッターなどで、感心している人がいて、それをまた「ナイス」している人がいて、それで、ふと眼に留まって、Asahi.comまで行った…

【Amazonレビュー】 田村隆一自撰詩集『腐敗性物質 (講談社文芸文庫) 』──エリオットから何も学んでいない不良ジーサン(笑)(★)

『田村隆一自撰詩集『腐敗性物質 (講談社文芸文庫) 』文庫 ( 田村 隆一 (著), 平出 隆 (著)腐敗性物質 (講談社文芸文庫)、1997/年4月10日刊) 日本の詩の歴史のようなものの、一項目に、「荒地派」などという一派があって、萩原朔太郎などでは満足できない…

【詩】「ジュリアン・グラックを読めなくて」

「ジュリアン・グラックを読めなくて」 なんとなく、ジュリアン・グラックの『シルトの岸辺』を読もうとした。細かい活字の「全集」の、「Le Rivage des Syrtes』の箇所にpost itが入っていて、章題、Une Prise de commandement。そして、J'appartiens a l'u…

【詩】「みちゆき」

「みちゆき」 この世のなごり。 夜もなごり。 死にに行く身をたとふればあだしが原の道の霜。 一足づつに消えてゆく。 夢の夢こそあはれなれ。 貧しさに負けた。いえ、幕府に負けた。 この町を追われた、いっそきれいに死のうか。 ちからのかぎり生きたから…

【詩】「上意討ち」

「上意討ち」 私憤ではない、 上意討ちとは、上の者の命令で 殿の敵を討つことである。互い、 恨みなどなく、果たし合う。 不条理な武士の道 森十兵衛二十八歳は、 田中源四郎を討ち取れとの命で、 全国への旅に出る 二人は何度も 偶然出くわす、しかし、 な…

【詩】「捨てるもの」

「捨てるもの」 まず、 ベンヤミン それから ラカン 折口信夫にも 寄ってられない 柳田国男は捨てない ヘーゲルはとうに捨て たぶん カントにも寄ってられないだろう ゲーテはかなたで ホバリング なれど いずれ 捨てることになるだろう さういふ 枝葉に か…

【詩】「春樹」

「春樹」 ボクの名前は、島崎春樹。 女学校の教師だ。 教え子を愛している 佐藤輔子(すけこ) ヘンな名前。そして、両親が決めた 許嫁がいる。だからボクは、 旅に出た。巡礼の旅だ 関西から四国まで 明治女学校ではボクの代わりに、 北村ってやつが教師に…

【詩】「花宴(はなのえん)」

「花宴(はなのえん)」 恋はスパークリングワインみたいにこころを酔わせるわ 女は朧月みたいに姿をくらませる おいらは二十歳になって外来のダンスだわ、どうせ この世はブラックホールのなかのブラックホール 義母は息子をまだ恋している 息子は義母を慕…

【詩】「紅葉賀」

「紅葉賀」 宮はやがて御とのゐなりける、すなわち殿舎にもどらず、 帝の部屋に泊まる にもかかわらず翌朝源氏から 昨日の舞の感想を求められつい応えてしまう。 しみじみ、感動いたしました。古代の女と男、義母と息子 先帝の長寿の祝い、唐の舞をりっぱに…

細田傳造『みちゆき』──細田傳造はどこへ行く?

細田傳造『みちゆき』(書肆山田、2019年5月10日刊) Amazonでレビューしようとしたら、まだ発行されてなかった(笑)。傳ちゃんは筆者の弟子なので(笑)、厳しい感想を、「謹呈」詩集なれど、書こうと思います。大手出版社で、一流詩人(田村隆一など)、…

【詩】「ねじの回転」

「ねじの回転」 ヘンリー・ジェームズの『ねじの回転』は、彼の恐怖小説の怖さからいったら、中程度の作品だ。「ねじの回転」というイメージはいかにも怖ろしげだが、作中、「ねじの回転」は出て来ない。果たして、この題名によって、なにを言いたかったのか…

【詩】「宣長の余白」

「宣長の余白」 紫文要領は余白こそうつくし 式部という亡霊のあれこれ ためつすがめつ 脱稿してうすきいろの 紙に染むは時をへだてた 墨のにおい ひとつに源氏物語の小琴 つま弾いてたそがれる 幹空洞 その余白によって はげしく読まれていくものがある 激…

【Amazonレビュー】 清水哲男詩集『換気扇の下の小さな椅子で』──現代詩の宗匠の仮の姿にご用心(★★★★★)

『換気扇の下の小さな椅子で』( 清水哲男著、2019年1月1日、書肆山田刊) すでにAmazoでは、古書で高値(3000円以上)がついている。一番安いのを検索したら、北海道の古本屋ので、だれぞ、寄贈された人が売ったのかしら? しかし、e-honには、たいてい定価…

【amazonレビュー】 伊藤浩子詩集『たましずめ/夕波』──平成最後の華麗なるテクスト群(★★★★★)

『たましずめ/夕波』(伊藤浩子著、 2019年3月27日、思潮社刊) そういや、自分は「詩集研究家」でもあった(笑)。本書も、生協経由e-hon(5%オフ)で購入しました。著者は、常に、文学的に、同年、同類の、居並ぶ詩人を一歩リード、しかも、ラカンだのフ…

【詩】「この女たちのすべてを語らないために」

「この女たちのすべてを語らないために」 狭い焼却炉で焼かれていく父の 最後の陰毛の一本、その色、 あるいは、宇宙空間に漂うナチスの 文字。ああ、オデュッセウスよ、決して 渦巻きを見つめてはならぬ、かつて、 私は地中海の水に足を浸したことがあった …

妹、小林貴子の油絵(100号)

F100 「塊・情」Oil on canvas 「今年も入選できました。課題は多いですがご高覧いただけたら嬉しいです。」 春陽展 国立新美術館 4/17~4/29 (23休)10:00~

『リヴァプール、最後の恋』──リトル・ダンサー、ジェイミーの体が美しい(★★★★★)

『リヴァプール、最後の恋』(ポール・マクギガン監督、 2017年、原題『FILM STARS DON'T DIE IN LIVERPOOL』) 『ラッキーナンバー7 』(2006)で、パズルのような展開を見せた、ポール・マクギガン監督ゆえに、今回も、そう簡単には、老いた女と若い男の恋を…